失敗しても大丈夫?
A 転落するべきだった。しかし、昇ってもいないのに落ちるのは難しい。穴を掘るのは何とエネルギーの要ることか。
B 行きは上りだった坂が帰りは下り坂になっている。それでも歩くことの労苦は一歩ごとに倒れるかもしれない怖れとつねに結びついている。
C 上下の問題と左右の問題を等価にすることによって不随と転倒の差異が見えなくなった。
D くるくるまわる球はどこへ行ってしまったのだろう。
E もしも疲れることがなかったら時間は存在するのだろうか。雨も義務感を覚えるとすればどこからが雨の汗なのか。雨が降っていて、そして雨が降っていた。
F 水中から空を見上げると雨の音は消え、明るい光が差し込んでくる。足をバタつかせていたので、のどが渇き、陸に上がると耳に水が入っている。
G 雨季の終わり。変身のとき。海の懐かしさ。
H 拍手のないライブでは無音は次の曲のはじまりを示唆しない。沢山の人がいる部屋の温度。誰もいない部屋の湿度。
I コップを見つめている間に自分の脈拍が速くなっているせいか砂糖がいっこうに溶けてくれないと感じるが、そもそもこの砂糖がイミテーションで溶けていると感じているのは、強くなっている動悸のせいなのかもしれない。
collaborated with Izumi Taki and Shinichi Takashima