2011年2月10日木曜日

 
 
・鉱物の表面から見えてくるような意思とは違うが、表皮をまとったからといってまだこの時点では、外側からでも大まかな把握をすることは可能だった。表面はどんどんと凹凸をなくし、滑らかになっていく。内側は無駄なくグリット状に畳み込まれ、摩擦にかわって電気に反応する。抵抗は擬似的に作り出されなければ、氷のように滑ってしまう。コンクリートと繊維の必要性はもうない。


・摩擦とは性的なものには不可欠な事柄である。しかし現行の生活に慣れた人間は摩擦をどんどん遠ざけるようになった。摩擦をつねに間接的なもとして把握すること、人間はほとんどの摩擦の感覚を脳の中で処理する学習にそれほど時間はかからなかった。



《終わりと結果が、同時に出るとは限らない。将棋でいえばすでに詰んでいる。つまり選択肢はもうないが、参りましたと言っても終わってくれないので、彼女はそのことについて考えるのをやめた。彼女の悪意とは最後までの時間を生きる唯一の糧なのだ。