2012年1月8日日曜日

 


《不法占拠者》 (1919)



2012年1月7日土曜日

 


《information》 (1939)




2011年12月26日月曜日

 




《焚き火》 (1923年)



sketch


2011年12月20日火曜日

 


1章:ライフルの時代
   9 
    手応えと視覚
    熊狩りについて
    アルコール、車、メディウム

2章:マシンガンの時代   57
    乱れ撃ちと蜂の巣
    赤への誘い
    特殊なものの再生産
        
3章:対象の喪失   97
    ジャングルと荒野
    銃声と幻覚    
    インデックスとエス
 
4章:サイボーグの到来   173
    筋肉とジェンダー
    アイロニカルな騒音
    歪んだ肖像、ナルシシズム

5章:抑圧された場所   217
    退屈とノイズ    
    境界線の往復
    目的なき実験

6章:終末の日常   251    
    善良な人たちからの通達
    情動と心拍
    最後に残ったもの
    
    

contents



2011年12月6日火曜日

 


A 「目をそらさないで、彼が言ったことは当たらなかったじゃない。間違ってたのよ。」

B 「まぁ、そんなに興奮するなよ。」

    Aの両肩を掴み、ソファーに座らせる。

C 「そうだ、そうやってすぐ頭に血を上らせるのがお前の悪いところだ。」

A 「だって、ここでは絶対に発病しないって言っていたのに。」

B 「それはみんな知ってるさ。でも彼が嘘を言うはずないだろう。」

C 「おっしゃる通りです。別の理由があったに違いありませんぜ。たぶんこいつは一回外に出たんですよ。」

A 「そんなことないわ。彼が嘘をついていたんだわ。感染してみんな死ぬのよ。逃げられたはずなのに、私たちはここに留まってしまったんだわ……。」

B 「バカだな。彼が嘘をつく必要がどこにある? 思いつかないだろ。絶対に原因が他にある。確かにこいつが外に出てたってのは、ありえる話だぜ。」

A 「そんなわけないじゃない! 彼はここなら絶対に感染しないと言った。だから私たちはここに留まった。でも感染者がでた。これは疑いようのない事実じゃない。彼が嘘をつく理由なんていくらでも考えられるはずよ。なんでそれを考えようとしないのよ!」

C 「うるせぇな。なんでわかんねぇんだ。」

    Dが部屋の中に入ってくる。
    AがDに歩み寄りながら話しかける。
   
A 「あんたたちじゃ話になんないわよ。」

B 「おい、こいつの持ってるもん全部調べてみろ! 外の人間と通じていた証拠が出てくるかもしれないぞ。」

C 「へい、わかりやした。」

   手袋をし、片方の手で自らの口と鼻をハンカチで押さえながら衣服のポケットや鞄を調べる。

D 「とにかくみなさん、落ち着いたほうがいいですよ。」

A 「落ち着いてなんかいられないわ。ここから逃げないと私たちも感染して死ぬのよ。」

D 「ここから出たら安全だとでも言うのですか? そんなことあるはずないでしょう。あなたは外を知らないから言うんですよ。」

A 「あなただってあれから外になんか出てないくせに、なんで危険だなんてわかるのよ。」

D 「僕はいろいろ話を聞いたんです、彼がそう言っていたと。それにもし仮に、あなたが言うようにここが危険で、外と同様に感染の可能性があるとしても、それでもまだ、ここにいる方がましな選択だと思いますよ。わかるでしょう?」

A 「外のことは聞いた話にすぎないじゃない。外がどうなっているのか、ここにいる誰もが本当のところわからないのよ。」

    Bがベットの方に歩み寄る。

B 「おい、何かなかったか?」

C 「みてくださいよ、こいつチョコレート食ってましたぜ。銀の包装紙がでてきました。」

   鞄から包装紙である銀紙を取り出し、みんなに見せる。

A 「それがなんだっていうのよ。昔食べたときに捨てるのを忘れてたんでしょ。」

B 「いいや、ちがう。これは最近のもんだ。ここではチョコレートは手に入らない。つまりこいつが外の人間と接触した証拠になる。しかもそのことを、こいつは俺たちに黙っていやがったんだ。」

C 「こいつ、一人だけいい思いをしようと俺たちを騙してたんですね。ふざけやがって。」

B 「やっぱりこいつは外に出たんだ。だから感染したんだよ。」
   
    ベットを足で小突く。

C 「自業自得だ。ざまあねえな。」

A 「その包装紙はだいぶ前のもので、捨てるのを忘れていただけよ。それじゃ何の証明にもならないわ。」

D 「いいですか、君がこの人のことを好きだったことくらい僕だってわかってるんですよ。包装紙が見つかったということは、外に出ていたことの証明になると僕も思います。」

B 「俺はこいつのことが最初から気にくわなかったんだよ。妙にずる賢いやつだった。黙って何もしゃべらないで、みんなの行動をじっと見てばかりいやがったしな。」

D 「そんなこと言っちゃいけませんよ。この人が外に出たのは自分のためじゃなく、みんなを助けようとしていたからなのかもしれませんし。」

B 「お前は人が良すぎるんだよ。本当にな。」

C 「まったくおやさしいこって。やさしさはこういう時じゃあかえって、問題の解決を遅らせ判断を鈍らせることもありますからね。実際こいつはつまらないやつでしたよ。みんなを助けようだなんて、少しも考えるようなやつじゃありませんでした。」

D 「あなたたちが言ってることは否定しません。しかしですよ、あくまで可能性があるのですから、そう悪く言ってはいけませんよ。」

A 「なんでみんな彼が言ったことをそこまで信じるのよ。あなたは彼の話を一番疑っていたじゃない。」

D 「あなただって彼の言うことを信じたから、ずっとここにいたんでしょう。」

A  「私は今回のことで彼の企みがよくわかった。全部嘘だったの。私たち全員を殺す気よ。はっきりしたわ。全部つながるの。ああ、付き合いきれない。私ここを出て行くわ。」

    テーブルの上に置いてあるハンドバックを持って出て行こうとする。
    BとCがそれを引き止める。
    ハンドバックを取り上げ、テーブルの上に戻す。   

B 「おいおい、そんなことが許されると思っているのか。外の人間にここの場所を言わない保証がどこにあるんだ。行かせるわけないだろ、お前はずっとここにいるんだよ。」

    DがAの両手首を握りしめ、目を合わせながら話しかける。

D 「大丈夫、もう少しの辛抱です。僕たちは必ずここから出ていける。晴れて自由の身になれるはずですから。」

B 「いいか、無い頭を使ってもう一度考えてみろよ。こいつが感染したのはこいつの責任だ。ここでは絶対に感染しない。こいつを処分しちまえばすべてはまるくおさまるんだよ。みんなが言っていることが正しいと、なぜわからないんだ。」

C 「そうそう、その通りですぜ。」

E 「フフフ…。」

   笑いながら椅子から立ち上がる。

E  「さっきからずっと黙って聞いていたがな、お前たちの考えは全員おかしいんだよ。笑えるな。俺ははじめから言ってただろう。全部天罰なんだよ。俺が言っていることを相手にしなかったせいだ。言った通りになっただろう。お前らはどうあがこうとダメなんだ。神のことについて何も考えてこなかったお前たちへの罰なんだよ。ここから抜け出すためには罪を洗い流すしかないんだ。こいつが感染したのは最も罪が重かったからなんだよ。業だよ、業。お前たちはみんな悔い改めなきゃならないんだ。」

A 「何を言ってるの。意味がわらかないわ?」

E 「彼の言ってることに囚われていること自体が間違ってるんだよ。お前たちは自分が救われようとばかり考えて、原因を人になすりつけ、自分が何をしてきたのか考えようとしない。肝心なことから目をそらして、都合のいい意見ばかり好き勝手に取り入れる。」

A 「い…、いい加減なこと言わないで。」

D 「……。」

E 「自分がいかに醜い人間かってことは、お前らみんな本当はわかっているんだろう。助かりたかったら救われようとするな、そうじゃなきゃ何も変えられないんだ。自分の胸に手を当ててよく考えてみろ。薄々気づいているはずだろう。彼って誰だ? そもそも彼って何者なんだ? さっきから話している彼なんてもんは、お前たちの作り上げた幻想なんだよ。そんなやつ、はじめから存在してなかったんだ。」

B 「なんだと、そ、そんな……。」

E 「 よく思い返してみろ。彼が彼がってみんな言っているけど、彼ってのは一体全体誰なんだ。俺が納得できるように説明してみろ。どうだ、え? できないだろう。できるはずがない。なぜって彼が誰なのか、本当は誰もわかってないからな。」

C 「……。」

E 「どうだ、なんとか言え。図星だろう。」

D 「……彼、彼……僕たちが話していた彼とは、一体誰のことだったのか、なんだかあやふやに思えてきました。話にはあがるものの誰も彼のことをよくしらないんですから。しかし、いまここに僕たちがいるのは彼のおかげなんだし、彼のような人は絶対に存在したはずで……。でも……確かにあなたの言うことは、一理あるかもしれません……。少なくとも、みんな自分のことしか考えていなかった……。自分が救われることしか……。」 

B 「ああ……、はじめは何を言ってるんだこいつは、と思ったが、そうかもしれねぇ……。俺は神なんか信じねぇ。けど言われてみれば、危険から逃れたい一心で、俺たちは彼を勝手に作り上げ、利用していたのかもしれないな。」

A 「どういう脳みそしてたらそんなことが言えるの。こんな狂人の話なんか真に受けてどうすんのよ。私、彼の写真データ持ってるわ。」

   ハンドバックからUSBメモリーを取り出し、パソコンに繋げ、入っている画像ファイルを開く。

A 「これを見てもわからないとでも言うの?」

B 「……誰だ、これは……。この男、俺は知らんぞ。」

D 「ぼくも同じです。これはぜったい彼ではありません。」

C 「こりゃ、まったく覚えのない顔だな。おい、一体どっから持ってきた画像なんだよ。」

A 「ちょっとまってよ、これが彼じゃなかったら一体誰なのよ。だいたい、そんなにあやふやな記憶なのになんで違うなんてわかるのよ。」

B 「そんなこと知るか、こっちが聞きたいね。記憶が漠然としてても違うことくらいわかるんだ。」

D 「もしこれが彼なら多少なりとも引っかかるところがあるはずです。ですが、まったくピンときません。これは彼じゃない。」

A 「嘘でしょ……。」

B 「嘘なんかついてない。」

E 「フフフ…。」

D 「やっぱり初めからいなかったのかもしれませんね…。ああ、ますますわからなくなってきてしまった…。」

B 「確かにそうだな……。」

C 「自分はどうも頭が悪くてよくわかりやせんが、なんだかすっと腑に落ちたような気がしますよ。」

E 「やっとわかってきたか。わかったらよく聞け。この先そういう手前勝手な考えは危険なんだ。危険がさらに深まるばかりだ。それを回避するには、お互いを疑わないことだ。自分のことを優先せずに、みんなでこの危機を乗り越えるんだよ。」

B 「そうだ、少なくとも俺たちは今、バラバラになっちゃいけないのは確かだ。」

D 「そうですね、僕たちは今こそ一つにならないといけない。」

E 「そうだ、自分がいかに浅はかな人間だったか、お前たちはそれを悔い改めて、協力し合わないかぎり、ここからは出られない。お前たちみんなの業が彼を生んだように、さらに事態が悪化するのを食い止めるためには。」

A 「なによそれ、みんなふざけないでよ。私をからかってるつもり。そんなの全然面白くないわよ。笑えないわ。」

    CがAに近づき耳元でささやく。

C 「いいか、お前はしばらく文句を言わず黙っていな。あの包装紙は俺が入れたんだ。俺は誰のことも信じちゃいない。だがな、全員がここから出られるわけないんだよ。今はとにかく従うフリをしとけ。俺がお前を外に出してやるから。」



screenplay



2011年11月23日水曜日

 


こんばんは、先生。私のためにここまできてくださって本当にうれしいです。お呼びしておいて申し訳ないんですが、今はやっぱり率直に話をするのが、どうにもできそうにありません。いいえ、話したくて仕方ないんですが、勇気がでないんです。それは、私の気持ちがいまだに、整理がついていないからなんでしょう。

それで、どうしたら先生に相談できるか、私なりに考えたんです。考えたあげく、今の私に降りかかっている問題を、これから一つの比喩に置き換えてお話しようと思います。唐突に聞こえるでしょうが、どうぞ話にのってください。だいぶ的外れな話じゃないかと思われるかもしれませんが、私が欲しいのは、ささやかな一つの答えなんです。それさえわかれば私は充分なんですよ。ですから、的確に答えを出そうなどと考えていただかなくっても大丈夫です。

その比喩とは、こうです。私はここ何年か、どうも人を殺してしまったような感覚にとらわれる時があるのです。けれども、殺した感覚だけが残っていて、誰を殺したのかわからないから、自分が人を殺したと確認することもできないのです。友達に話しても誰も相手にしてくれないし、新聞を見てもそれらしい事件は載っていない。いったい何の比喩だと笑われるかもしれませんが、私自身にとっては真面目な問題で、正直困っているんです。

先生が怪訝な顔をなさるのも、もっともだと思います。証拠がまったくないのに、人を殺してしまったという感覚にとらわれているなんて、おかしいですよね。それにたとえそう思っているのだとしても、なぜ殺したのかというと動機が欠けているだけでなく、誰を殺したかその相手を特定することもできないなんて、それじゃあ君の思い込みにすぎないだろうと、そう思っていらっしゃるのでしょうね。あるいは、その殺したという感覚には、どのように殺したのかという手がかりすらも、まったく残っていないのか。かりにどのように殺したのかがまったくわからないとしても、その感覚というのは、身体のどこかの部分、たとえば手などに残存しているようなものなのか。先生のような冷静な分析家なら、そんな疑問も浮かんでくると思います。殺すという行為は、単にある特定の相手の身体を傷つけたという感触と同じものではなく、ある命をまるごと自らの手中におさめ、それが息途絶えるまでの過程を見極めたという感触が、つきまとうはずなのでしょうから。

そうですね、たとえば私がゴキブリを殺すとします。私はスプレーではなく、きまって丸めた新聞紙を使います。それを思いっきり振り上げて、ゴキブリを叩きつぶす。命中したらすばやくティッシュで包んで、ビニール袋に入れる。絶対に中から出てくることがないように、袋の口をきつく縛る。まだガサゴソと音がするときは、TVのボリュームを上げてやり過ごす。私はこういう一連の作業がすごく苦手で、顔を背けながらやるんです。小さい命であるとはいえ、いつも結構な手応えを感じます。もちろん人間であれば、すぐに片づけることもできませんし、そんなものではすまされないことはわかっています。けれど私は、自分が人を殺した場合、かならずしもそうした手応えがともなうとは思えないのです。

殺人はその、ことの重大さとは無関係に、行為自体としては、非常にあっけない場合もあるんではないでしょうか。端的にそれは、手段によって大きく変わります。両手で首を絞めるか、ナイフで刺すか、銃で撃つか、薬を盛るかでは、行なった者のなかに残る感覚がまったく違ってくるでしょう。つまり、殺人という事実と殺人を犯したという実感とのあいだに、大きなずれが存在するような場合もあるのではないか、私はそう考えているのです。

私のしたことを殺人に置き換えると、どのような手口になるのでしょう? いずれにしても、私はもはや殺している最中の感覚にとらわれているわけでないと思います。 もしかしたら殺していないのかもしれないという疑念が残っているくらいですから。ですから、私の言っている人を殺したかもしれないという感覚とは、手を使って殺す類いのものではなく、相手の身体に触れずに行なうものなのでしょうね。強いて言うならそれは、下には隙間がないほどの通行人が歩いていることを知りながら、高層ビルの屋上からビール瓶を落とすようなものです。下を確認することもできず、音も聞こえてこない。それでも私は、人を殺したという確信を持っている。そうした状況に近いのです。

先生を煙に巻いているつもりは毛頭ありませんよ。しかし人を殺したら、本当にそれ以後ずっと、そのことに苛まれつづけるものなんでしょうか。捕まるかもしれない、罰や報復を受けるかもしれないという不安を除外したら、どのくらいそれが持続するものなのでしょう? 私の場合、殺人の痕跡が残っておらず、誰も殺人があったことを認めない以上、罪に問われ法によって裁かれることはありません。もしかしたらそのうち、何もしていなかったと割り切って、すべてを忘れてしまうかもしれません。私はそのくらい単純で、いい加減な人間だということを、自分で知っているつもりです。けれど一方で、人を殺しておいてそれでいいなんてことはありえないという思いを、いまだに拭えずにいるんです。

結局のところ、「誰を」という、私をめぐる何がしかの人間関係も、「なぜ」という、私自身の行為の意図や意志に関わることも、どちらもあまり重要ではないのと同様に、今まで述べてきた「どのように」ということだって、私にはたいして問題ではないんでしょうね。ともかく、何かを殺すとは、この世界という総量から何かが一定量減る、ということだけれど、むしろこのケースでは、世界からは何も減らずに、殺人をしたという感覚だけが、まるである種のラベルを貼ったみたいに、私にのみ付加されているかのような状況なんです。

先生はおそらく今、私にこう言いたいのでしょう。ええ、わざわざ口に出していただかなくとも、私にはわかります。君はささやかであれ、何らかの一つの答えが欲しいと言った。答えを望むということは、君が何かを問いかけたということになる。しかし君の問いかけは、はたして真の問いかけだろうか? だいたい今の君の状態に、何の不都合があろうか。もしも殺したという感覚を忘れたくないのなら、今のままでいればよい。これ以上何かする必要も、特に考えをすすめるべきこともない。できるのは、それを抱えるか背負うかしつづけることだけだ。逆に、もしも殺したという感覚を忘れたいのなら、とっとと忘れてしまえばいい。現に今にも忘れそうなことなのだから容易いことだ。こちらの場合においても、何かすべきことも考えるべきことも、もはやない。つまり君の問いとは、片側のない、単なる問いである。答えのない問題こそが問題であるとしても、他の者からすれば、それは問題ではないと見なされてしまうだろう。問いに対する答え、というように、片側からもう片側へと移行することの欲望が、われわれの知を動機づけている。二項対立というよりも、その一方の極から他方の極へという連続性が、そこを動き回ることを可能にしている。だが、単なる問いは、運動させることなく停止させるよう、われわれを促す。だから問いのなかに住まうことなど、誰にもできはしない。ゆえに、君が問うことを捨て、再びこの世界に帰るためになしうることは、ただ一つしかない。すなわち、もしも殺したという感覚があやふやで、それをもっと確かなものにしたいのなら、君が誰かもう一人を、今度は確固たる仕方で、ゴキブリを叩きつぶす時と同じ手際で、しっかり殺したとわかるように殺せばいい——そうおっしゃりたいのでしょう? そうなんです、だからこそ私は、今夜こうして先生をお呼びしたんです。


monolog


collaborated with Shinichi Takashima



2011年11月16日水曜日

 


 いかなることがあっても義務を果たさなければなりません。国民の多くは義務を忘れ、権利を要求することだけに終始しています。それでは赤子が乳を飲みたいときに泣きわめくのと何も違いがありません。権利を要求するためには私たちの義務がなんであるのかを考えなければいけません。義務とは権利と違って放棄することができないものです。にもかかわらず誰しもがそれを忘れている場合どのようなことが起こるかを考えてください。それが原因となって今があるのです。つまり義務の認識を抜きにして権利の獲得などありえません。私たちはそれをお教えします。自分のことしか考えなくなってしまった堕落した世界から、あなたたちを救い出したいのです………



 いかなることがあっても権利を要求しなけばいけません。権利は持つというようにそれ自体初めから私たちに備わっているものではありません。権利は誰によって与えられているのか考えてみてください。私たちが行動にでなければ、要求すべき権利は永久に持つことができないのです。なぜなら私たちに権利を与えれば、1パーセントの幸福な人間たちの安定が脅かされるからです。彼らは彼らが困らない程度に私たちに権利を与えるかもしれません。しかし、それに騙されてはいけません。私たちを強いているこの枠組み自体なのです。このままでは私たちが自由を獲得することはありえないのです。まさか本当に見捨てはしないだろうという甘い幻想は捨てる必要があります。何としても権利を勝ち取らなければいけないのです。どうすればいいのか、私たちがお教えします。無視された者たちの怒りを今こそ彼らに見せつけてやろうではありませんか………


two pamphlets
 


息子「お父さん、革命は起こらなかったってどういうこと?」

「弱いかった者が半旗を翻して強くなることはなく、強い者がただひたすら強くなって支配していくということさ。」

息子「でも当時は争いや一揆はいろんなところで起きていたんでしょ。」

「そうだ。しかしそれはね、相対的に弱体化している地域の話なんだ。このボードを見てごらん。当時の新興国では強い者がますます強くなっているのがわかるだろう。そして弱体化しつつある地域での混乱は、新興国にとって有利な条件をもたらしてくるものなんだ。ライバルは弱体化を早め、さらに彼らに借りを作ることもできるからね。もちろん、新興国でも革命が起きないとは言えない。だから強圧的な政治を可能にするシステムが開発されたんだ。強い国は国を豊かにする力もあるから、強いうちは戦争はあっても革命など起こらないんだよ。帝国こそが平和を作り上げるという偽の理念が遠回しにであれ信じられていた時代なのさ。」

息子「そんな時代はもうこないと思っていいのかな?」


conversation